2025年の個人的ベスト・ミュージック。今年は初めてレコードを買った年にもなりました。過去作もありますが、今年出会った作品や聞いていた作品をふくめて書いていきたいと思います。
目次
- Mile End / Ariel Posen
- Talk from Home / Suzanne Kraft
- Dancing with Embers / Matt Carmichael
- In Parallel / Salamanda
- past present / Mark de Clive-Lowe
- Rico, I’m Here / 市川莉子
- Lean In / Gretchen Parlato
- Homebody / Frida Touray
- The Art of Loving / Olivia Dean
- Musas en Mi / Arath Herce
- Not Everyone can Go / Braxton Cook
- The Shieling / Fergus McCreadie
- letters to self (寫情書) / yingtuitive
- Sideways / Lauren Desberg
- たけとんぼ / たけとんぼ
- Altair and Vega / MindaRyn
- Galaxy / Alex Metric
- Heavy Weather / Weather Report
Mile End / Ariel Posen

3枚組アルバム。いきなり過去作なんですけど、ここ数年の中で、割とはっきりと音楽を聴くきっかけとなったシリーズ。初作はもう数年前に出ているけれど、自分が存在を知ったときにはもうシリーズ2作まで出ており、かつLPはインディー制作で売り切れ、なかなかリプレスも難しいだろうと思っていたところに、第3作が発表されて、同時に3枚組アルバムが発売されるという、願ってもない状況に。しかしこれが逆に、買うなら今しかないという思い切りの背中を押してくれたと思う。
曲調は内省的で瞑想的。ジャンル的には、アンビエント・ブルースとでもいえばいいでしょうか。自分が作品を作るならこういうのを作りたい、という作品シリーズ。
recommended: Four Corners, Fairgrounds
Talk from Home / Suzanne Kraft

優勝。rotaryでかけてくれた。1曲目の衝撃としてはほんとに今年ナンバーワンかも。全体もいいんだけど。共作のPassive Agressiveはよかったけど、Jonny Nashはあんまりなんですよね~。Point of Entryも、今年出たやつも、ちょっとなんだろう、気だるすぎ?たゆたいすぎ?というか。もうちょっとピントが合っていてほしいというのが個人的好み。って思って聞き直してみたら、最新作は意外といいかも。
ジャケットもマグリットっぽいな~と思ってて好き。Jonny NashのExit Strategiesを勝手に姉妹アルバムだと思っている。
配信に10周年記念バージョンとかいうのが来たからそれのハードが再発してくれないかと思っている。
Dancing with Embers / Matt Carmichael

スコットランドの若きサックスプレイヤー。トラッドな曲調のものが大半を占めている。インタビューで使われた”folk music played with jazz attitude and technique”という言葉がしっくりくる。ケルト音楽が好きな人はきっと刺さるはず。本作のaglow、1stアルバムのCononbridge、Hopeful Morningが特におすすめです。
個人的な思い出として、アーティスト公式HPから注文したらポストイットで手書きのメッセージをつけてくれたことや、Antibodyの視聴会に持参して素晴らしいオーディオで聞けたことで、よりジャズ全般に興味を抱くようになったことも相俟って、音楽の世界をさらに豊かにしてくれたとても思い入れのあるレコード盤にもなった。
スコットランドや隣接地域の風景を曲名が象徴的に伝えている。ぜひ継続して作品を発表してほしいし、いつか日本にも来てほしい。
recommended tracks: flint, aglow, mangata
In Parallel / Salamanda

アンビエントにハマるきっかけになった(さっきから各ジャンルにハマるきっかけになったことばっかり言ってる)1枚とそのアーティストで、韓国の女性二人のユニットというのもかっこいい。
YouTubeにも結構ライブパフォーマンス動画が上がっていて、中でも植物をフィーチャーしたものが多かったことで、音楽と植物のかけ合わせという新しい興味のジャンルも開拓された。(それがSTILLPARKやPatricianの発見にも繋がったりして、やはり音楽ライフを豊かにしてくれた)
5月に来日していたのを見逃したのは今年の大きな痛手。何かでまた来たら今度こそ…!
recommended: Sun Tickle, In Parallel
past present / Mark de Clive-Lowe

下北沢tonlistにて邂逅。去年11月の2周年イベントで初めて行ってから今年は何回か行ったと思うのだけど、印象的な出会いだった。シンセの音作り。作品の世界観を伝えるという意味では最も成功しているかもしれない。ジャケットに映る父親と厳島神社。その父への記憶を辿る旅。
音に心を奪われてぼーっと聞いていたのだけれど、特に何の前触れもなく「ジャケット見ますか」という感じで回ってきて、それで余計に印象に残っているのかもしれない。その後に流れた Laurie Torres とセットで記憶の中にとどまっている。
Rico, I’m Here / 市川莉子

中華街にGreen Doorという小さなお店がありまして、そこに初めて行ったとき、マスターのおじさんに「マシュマロという場所もありますよ」ということを教えてもらう。それで水曜日に行ってみた。
水曜日は持ち込みのCDやLPをかける会をやっているようで、おじさま方たちがそれぞれにこれをというものを持ち込んで流していた。自分がついたときはセシル・テイラーが流れていて、自分はよく知らないが、ちょっと難しい目のジャズだった。なるほどな~と思いながら聞いていて、マスターの方が日本の民謡をジャズで演奏したアルバムをかけ、じゃこれで終わりましょうか、となっていたところに、最後にひとつだけ、と後から入ってきたおじさまがリクエストでかけてくれたのがこれ。
日本のジャズはあまり食指が動かない私であるが、一聴して歌声がなんとなく印象に残り、これはいいかも、と思って帰宅後こそこそ検索した。
配信音源がなく、YouTubeにすら音源がないので、自宅でなかなか聞けないのだが、先日はじめて浅草のPatricianに行ってきて、そこでかけてもらった。なんというか、予想を裏切らない良さで、Sunrise(ノラ・ジョーンズ)やJust the two of Usなどのスタンダード寄りなカバー集で、どれもアレンジの解釈違いがなく、それでいて無難というほど冒険していないわけでもなく、大変良い録音なのではないかと思う。次回作も楽しみ。
Lean In / Gretchen Parlato

If it wasというシングルが配信で流れてきて、冒頭のストリング、そこからのヴォーカルの入りなど静謐な雰囲気にみせられ、アーティストを辿っていった。こちらの作品はややブラジル風味もただよう。アコギとデュオってところがいいなーと思って聞き出した作品。ジャケットも素敵で、アメリカのAmazonで検索したらなぜか値下がりしていたのでそちらで購入。しかも配送が遅れたということで値引きしてもらった。ラッキー。
この作品でEdition Recordというレーベルを知り、そこから次の作品にも繋がっていった。
アルバムの1曲目をおすすめに挙げるのは芸のなさを露呈しているようであれなのだが、1曲目が一番好きです…。Akweってなんなのだろうなーと思って調べたらAquaのブラジル(ポルトガル)語だった。なるほど言われてみればそうだな~。知ってみると曲の中でいっぱいAkweって言われているのに気づくようになった。言葉を認識すると知覚って変わるんだよね。
Homebody / Frida Touray

前述のEdition Recordを調べていたら巡り合った作品。直前にOlivia DeanのThe Art of Lovingに出会っていたが、こちらはそれと対象的に少し陰のある雰囲気がとてもよい。セットで記憶に残った。
特別に変わったことをしているというわけではないのだけど、歌声、リズム、メロディがシンプルに心に響く。どことなく哀愁がある。アルバム制作中に病気を患い声が出せなくなったとのことで、その悲哀やそこからの回復が込められているのかもしれない。
ソウルを好きになったことがなかったのだけれど、これを入口にソウルも聞いてみたいと思った、きっかけをくれた1枚。
The Art of Lovingは多くの人のベストに入るだろうけど、こちらはEPということもあって、非常にウェルメイドな小品、という感じで、それもまたよい。
The Art of Loving / Olivia Dean

というわけでArt of Loving。LISTENで邂逅。ジャケもめちゃくちゃかっこよく、良作の雰囲気ただよう。思いっきりシングル曲なのだが、やはりMan I Needが素晴らしい。Spotifyでの再生数も多くて、自分が知らなかっただけで人気なんだなーと認識。3曲目のLady Ladyも好きです。検索して方方の褒められっぷりを見ると、これを今年のベストに入れる人は多いだろうなーという作品。それくらいアルバムとしても完成されていると思う。
作品が素晴らしすぎてイマイチ好きになれないというか、しばらく買わないかもしれないけど、入手可能なうちに買っておきたい気もする…。
Musas en Mi / Arath Herce

Spotifyのレコメンドで遭遇。どういう流れで出てきたんだろう。SSW枠。ただこれもジャケが素晴らしく、聞いてみようと思った。メキシコのシンガーだったと思う。新たな領地開拓ということで。しっとり囁きバラード系もあれば元気な曲もあり、彩りも豊かで良い。
SNSを見てみるとやたらビジュが良く、写真とかも凝っていて、なんかアイドルっぽい。コンサートで真っ白のエルヴィスみたいなズボン履いてたりするし、よくわからんところも面白い。
物理がいまのところ出てないっぽいので、アーティストに思い切って質問してみた。レコードかCDは出るんですかと。もちろん英語に自信はないのでChatGPTに翻訳してもらった。「Yes we will」って返ってきたので、少なくとも可能性はゼロではないことがわかった。来年のいつかに出るのかな。出たら嬉しい。買おう。と思っている。気持ちはある。
Not Everyone can Go / Braxton Cook
これもSporifyレコメンドで遭遇。サックスがただただ普通にかっこいい。X-Over Jazz!とかのプレイリストに入っている。ユセフ・デイズとか聞いていた影響かな。アルゴリズムが判断したらしい。ただナイス。普通にかっこいい。一番聞きたいやつだ。
これはレコードも出ているが本体価格50ドルで高いのと、最初に好きになったのがデラックス版にしか入っておらず、そっちは物理化されていないらしい。出てくれ。そしたら買うから(気持ち)。
この人は自分で歌も歌うらしい。一家のファーザーでもあり、このアルバムを作っていた時期はパパであり夫でありアーティストであり、という人生の一人3役を乗りこなす努力をしていた時期でもあったそうだ。なるほどね。そしてこの人にもデラックス版のCDかレコードは出るんですかとインスタで聞きたいが、発売の告知で「Spotifyはク◯だからApple Musicで聞いてくれよな✌」と言っていて怖気づいている。
アーティスト界隈はSpotify嫌いな人がちょこちょこいる印象があるけどどうなんだろう。テイラー・スウィフトとかVulfpeckもそうだったっけ。収益システムが批判されてたのは聞いたことあるような気がするが、アップルだとそんなに違うんだろうか? Spotifyにそれなりに(というか結構)お世話になってる身としては複雑な心境だが、知り合いで「私は一切サブスクしてない」という人もいたりして、そんなことも試してみようかななんていう気にもなっている。でも絶対すぐ我慢できなくなるのが今は目に見えてるからやめない。かもしれないけどどうだろう。うーん。
おすすめトラックとしては、デラックス版のIdea #5(これを最初に聞いて好きになった)。エコーの聞いたサックスの寂寥感。これを求めている。
The Shieling / Fergus McCreadie

Matt Carmichaelのバンドでピアノを弾いている人。Mattくんのバンドでピアノを弾いている人だから、そりゃいいんだろうなーと思いつつ、Mattくんを聞き始めた直後にYouTubeのおすすめで流れてきていた気はするが、そのときはそんなにハマらなかった。このアルバムはいいね。
上述のMark de Clive-Loweのライブを聞きに行った日、帰りにtonlistに寄ったらかかっていた。なんかピアノがいいなーと思ったらこのアルバムだったという。さすがtonlist。
彼は、Matt Carmichaelのところで書いたのですが「自分の音楽は folk music played with jazz attitude and techniqueだと思う」と言っているらしくて、それだなーと思う。それをやってくれよ。頼む。例えば4番、7番、9番なんかはそれが濃厚に出ている。5番とかはチェインバー・ジャズっていうのかな。室内楽というかアコースティックな感じ。それもまたよし。とにかくそのバランス感が絶妙によい。
Shielingというのはアルバムのジャケになっている離れ小屋みたいなののことをいうのかな。そこで全曲録音されたみたいだ、という話をtonlistのマスターさんが教えてくれた。
letters to self (寫情書) / yingtuitive

アンビエント枠その2。Salamandaのアカウントをインスタでフォローした流れで流れてきたのかな。良質アンビエント。内省的。
Sideways / Lauren Desberg

Gretchen Parlatoの流れで出てきたジャズシンガー。でもセカンドはそんなにジャズでもないかな?このアルバムはパーラトが監修したらしく、自分も一緒に歌っている。バックバンドがかっこいい。ことに1曲目が最高。
ジャケがオリジナル発売時の時が良かった。背面にあるんだけどね。セクシャルだっていうんでコンプラ的なあれかしら。60年代フレンチアイドルみたいなカバーになっている。ま、それはそれで味なんだけど。
プレス数があまりなさそうで中古価格が高騰していたんだけど、Disk Unionのウォントリストに登録していたらお手頃価格で入手できてほくほく。
たけとんぼ / たけとんぼ

Instagramのフィードにalone in japanというアカウントの投稿が流れてきて、そのBGMで使われていた「ラララ」が個人的ドツボだったので、そこから派生してアーティストまで。どれもいいですね。なぜこのアルバムにラララが入っていないのか…!(ラララはテープを買いました)
おすすめトラックは1, 7かな。1曲目とシングル曲…。恋をするなら(7)の
ああ 恋をするなら きっとあなたにしてはいけない
ああ 恋をするなら きっとあなたの他にいないだろう
はとてもいい歌詞。
シングル枠
Altair and Vega / MindaRyn

個人的J-POP(でいいよね?)部門優勝。歌手はタイ出身の歌い手?的な人。名前はnが入っているがマイダリンと読むらしい。アニソンシンガーというジャンル。なるほどと思った。2025年はミルキー☆サブウェイの年でもあったから…。映画化もおめでたい。頑張れ~。Aメロが丸サ進行で、それについてYouTubeを見ていたら面白いビデオがあった。
Galaxy / Alex Metric

SalamandaのYouTubeを漁っていて流れてきたMixMixというチャンネルから別のDJのプレイで流れてきた曲。単純にかっこいい。乗れる。楽しい。こういうディスコな曲も聞いていきたいですねえ。クラブに行くべきなんだろうか。てか別にアルバム/シングルわけないでいいような気がしてきた。このEPはこの曲以外はあんまり聞いていないんだけど。
Heavy Weather / Weather Report
もはやシングルでもないんだけど、なかじのサウンドで聞いた1曲目のBirdlandがあまりに素晴らしかったので入賞。高えオーディオはすごい。これをリクエストしてくれたお姉さんにも感謝。それがなければ一生出会わなかったかもしれない。3曲目はDean Townの元ネタでもあるのかな。